BMW R850Rは、BMWが1995年から生産を開始したミドルクラスのロードスターバイクで、独特の魅力を持つモデルとしてライダーたちに愛されています。ABS非搭載である日本仕様が特徴的で、上位モデルに比べて手に入れやすい価格と軽快な走りが魅力です。
本記事では、BMW R850Rの概要やエンジン性能、メンテナンスポイント、中古市場の状況、購入時の注意点などを詳しく解説します。R850Rの魅力や注意すべきポイントを知りたい方に向けた情報を提供しますので、購入やメンテナンスを検討している方はぜひ参考にしてください。
記事のポイント
- BMW R850Rの基本スペックやエンジン性能について
- ABS装備の有無やその影響について
- 中古車市場の状況と購入時の注意点について
- メンテナンスポイントやよくある故障と対策について
BMW R850Rの概要と特徴
- 基本スペック
- 上位モデルとの違い
- 日本での販売背景
- エンジン性能
- ABS装備の有無
- R850Rの歴史とモデルチェンジ
基本スペック
BMW R850Rはミドルクラスのロードスターバイクとして、1995年から生産が開始されました。全長は2160mm、全幅は775mm、全高は1170mmとコンパクトで取り回しがしやすく、ホイールベースは1487mmで安定した走行が可能です。シート高は760mmですが、日本向け仕様として780mmやアクセサリーオプションで800mmや820mmのシートも用意されています。車両重量は238kgであり、乗車定員は2名です。
R850Rのエンジンは848ccの4ストローク水平対向2気筒(ボクサーエンジン)で、空油冷方式を採用しています。このエンジンは最大出力70PS(52kW)を7000rpmで発生し、最大トルクは7.9N・mを5500rpmで出力します。燃料供給はフューエルインジェクション方式で、Bosch Motronic MA2.4の燃料装置を装備しています。これにより、スムーズなパワーデリバリーと信頼性の高い始動が可能です。
ブレーキシステムは、前輪が油圧式ダブルディスク、後輪が油圧式シングルディスクで、ABSは標準装備ではありません。懸架方式は前輪がテレレバーフォーク、後輪はパラレバースイングアームで、優れた安定性とコントロール性能を提供します。タイヤは前輪が120/70ZR17、後輪が170/60ZR17のラジアルチューブレスタイヤを装備し、スポーツ走行からツーリングまで幅広く対応できるよう設計されています。
また、R850Rの燃料タンクは20.5Lの容量を持ち、長距離ツーリングでも安心できる燃料持続性があります。クラッチは乾式・単板クラッチ、変速機はリターン式6段変速で、動力伝達はシャフトドライブ方式です。この仕様により、ギアチェンジがスムーズで、チェーン駆動よりもメンテナンスが簡単です。エンジン始動はセルフスターター式、点火装置はフルトランジスタ式で、優れた信頼性を誇ります。
上位モデルとの違い
R850RはBMWの上位モデルであるR1100RやR1150Rと同じプラットフォームをベースにしていますが、いくつかの違いがあります。まず、R850Rは848ccエンジンを搭載しており、R1100Rの1085ccやR1150Rの1130ccのエンジンよりも排気量が小さいです。このため、最高出力やトルクは上位モデルよりも控えめですが、848ccエンジンは軽快な走りを可能にし、街乗りや中距離ツーリングには十分なパワーを提供します。
もう一つの大きな違いはABSの装備です。R850Rは日本向け仕様としてABSが搭載されていない点が特徴的です。一方、R1100RやR1150RはABS装備が標準またはオプションとして提供されており、より安全な制動が可能です。ABSが付いていないことにより、R850Rは価格的にリーズナブルですが、ABSの付加価値を求めるライダーにとっては慎重な選択が必要です。
車体構成は上位モデルとほぼ同じで、パラレバーとテレレバーによるサスペンションシステムを採用しています。これにより、R850Rも他の上位モデルと同様に、安定したハンドリングと快適な乗り心地を提供します。ただし、R850Rはシリンダーヘッドカバーがマグネシウム合金製であり、R1150Rのものと同様の部品が使用されています。これにより、耐久性とスタイルに差別化が生まれています。
また、R850Rはガソリンタンク容量や車体寸法も上位モデルとほぼ同じですが、燃料供給装置やシートの高さ調整オプションなど、細部で異なる仕様が見受けられます。特に、日本向けのシートオプションは多様で、ライダーの好みに合わせた調整が可能です。R850Rの特徴は、全体として「上位モデルの持つ高性能さを一部残しつつも、手頃な価格と軽快な乗り味を提供するバイク」と言えるでしょう。
日本での販売背景
BMW R850Rは、1990年代中頃から2000年代前半にかけて、日本市場で限られた台数が正規輸入されて販売されていました。当時、BMWのバイクといえばABS付きモデルのイメージが強く、これが安全性や信頼性の象徴とされていました。しかし、R850Rは日本においてABSが標準装備されていないモデルとして導入されていました。これは戦略的な判断であり、ABSを装備しないことでR1100RやR1150Rと価格面で差別化を図り、より手に入れやすいミドルクラスバイクとして位置づけるためでした。
このようにABS非搭載であることは、R850Rが他の上位モデルに比べて選択肢として控えめに見られた要因でもあります。ABS装備のあるR1100RやR1150Rが日本市場において主流であり、ライダーにとっても大型バイクとしての魅力は排気量の大きなモデルに向けられがちでした。結果として、R850Rの販売台数は極めて少なく、日本国内で見かけることも稀な存在となりました。
また、販売当時のR850Rは、日本市場向けの正規輸入仕様において限られた年式とモデルしか流通していませんでした。具体的には、1995年から導入され、2002年頃にモデルチェンジを迎えました。特に後期型はR1150Rのスタイルを踏襲しており、より現代的なデザインと機能を持っていましたが、それでもABS非搭載という独自性は継続されていました。
BMW R850Rが日本市場で希少な存在となった背景には、当時のBMWの戦略と市場のニーズのずれが影響していると考えられます。ABS装備を重視しない、もしくは求めないライダーにとっては魅力的でありつつも、ABS装備を重視する顧客にとっては選ばれにくいモデルだったのです。このため、日本国内での新車販売台数は極めて少なく、中古市場でもその姿を見つけることは容易ではありません。
エンジン性能
BMW R850Rのエンジンは848ccの水平対向2気筒(ボクサーエンジン)を搭載しています。このエンジンは、R1100RスタイルのR850Rから継承されており、最大出力70PS(52kW)を7000rpmで発生し、最大トルクは7.9N・mを5500rpmで出力します。排気量は850ccとミドルクラスに位置し、街乗りからツーリングまで幅広く対応できるパワーを備えています。
このエンジンは、4バルブのシステムを採用しており、空油冷方式によって冷却されます。これにより、過酷な環境でも安定した性能を発揮することができ、信頼性が高いことが特徴です。BMWのボクサーエンジンは低重心設計のため、走行時の安定性が高く、バランスの取れた乗り心地を提供します。特に、エンジンの構造による振動抑制効果が高く、長距離のツーリングでも快適さを失わないのが魅力です。
R850Rは、ギア比が上位モデルと異なっているため、独自の走行フィーリングを持っています。大型エンジンを搭載したモデルと比較しても遜色のない加速性能を提供し、スムーズなギアチェンジによる快適なライディングが可能です。加えて、燃料供給装置にはBosch Motronic MA2.4を使用し、フューエルインジェクションによる高精度な燃料供給を実現しています。これにより、優れたレスポンスと燃費性能が確保されています。
ただし、ABSが標準装備されていないため、急制動時には注意が必要です。ABSなしであることにより、ブレーキングテクニックに対するライダーのスキルが求められますが、その分、バイク本来の操作感を楽しめるという意見もあります。結果として、R850Rのエンジン性能は信頼性とバランスの良さを備え、上位モデルにはない個性的な走行感覚を提供します。
ABS装備の有無
BMW R850Rは日本市場において、特にABS装備の有無が際立った特徴となっています。1990年代から2000年代初期にかけて、日本に正規輸入されたR850RはABSが標準装備されていないモデルでした。当時、BMWバイクは安全性を重視するブランドとして、ABS付きモデルの普及が進んでいましたが、R850RはあえてABSを搭載せずに販売されていました。これは、価格設定を抑えることで、ミドルクラスバイクとして手に入れやすくするための戦略でした。
ABS非搭載であることは、BMWのバイクを求めるライダーにとっては賛否が分かれる点です。ABSがないことで、急な制動時にはライダー自身のブレーキング技術が重要になります。特に雨天や滑りやすい路面でのブレーキングは慎重さが求められます。しかし、ABS非搭載により車体価格は控えめであり、ライダーにとっては初期コストを抑えた選択肢となることも事実です。
一方で、ABS装備の上位モデルであるR1100RやR1150Rが当時主流だったこともあり、R850RのABS非装備という点は販売面でのデメリットにもなり得ました。ABS装備の有無によって制動時の安全性が変わるため、特に初心者や安全性を重視するライダーにとっては、ABS付きの他モデルが選ばれやすかったのです。
しかし、ABS非搭載のR850Rには独自の魅力もあります。ABSがないことでライダーが直接的な制御感を楽しめる点や、シンプルな構造による軽量化が挙げられます。このため、経験豊富なライダーの中には、ABSに頼らず自身のブレーキング技術を試したいと考える人に支持されることもありました。こうして、ABS装備の有無はR850Rの特徴であり、ライダーの好みや価値観によって評価が異なるポイントです。
R850Rの歴史とモデルチェンジ
R850Rは1995年にBMWが発表したモデルであり、その歴史は上位モデルであるR1100RやR1150Rの影に隠れる形でスタートしました。R1100シリーズが市場に存在していた時期、BMWは850ccのエンジンを搭載したモデルを複数展開していましたが、日本市場にはロードスタータイプのR850Rのみが正規輸入されていました。これは、日本市場においてミドルクラスバイクへのニーズが特定の範囲に限られていたためと考えられます。
R850Rは、1995年にR1100Rスタイルで導入され、その後2002年にはR1150Rスタイルへとモデルチェンジしました。初期型のR850Rは、848ccエンジンとシングルスパーク方式の点火を特徴としていました。2003年以降、R1150系のエンジンはツインスパーク仕様に変更されましたが、R850Rのエンジンはツインスパーク化されることはありませんでした。これにより、R850Rは上位モデルとの差別化が明確にされていました。
また、日本でのR850RのモデルはABS装備の有無でも一線を画していました。R1100系ではABS無しモデルが選択肢としてありましたが、R1150系に移行してからはほぼ全ての日本導入モデルがABS装備付きとなりました。R850Rはその中で唯一ABSを搭載せずに販売されていたモデルであり、この仕様が販売数に影響を及ぼしました。ABSの有無による価格の差が販売戦略の一環であり、特定のライダー層には魅力的に映ったものの、全体の販売台数は限られていました。
R850Rの生産は2006年頃まで続きましたが、その後はより大型の排気量を持つR1200シリーズなどが台頭し、R850Rのラインナップは消えていきました。こうして、R850RはBMWのバイクラインナップの中で短命なモデルとなりましたが、手頃な価格やABS非搭載の個性的な仕様により、一部のライダーには今でも愛され続けています。
BMW R850Rの購入と維持情報
- 中古車市場
- 購入時の注意点
- よくある故障と対策
- メンテナンスポイント
- 燃費性能と実用性
- カスタムとアクセサリー
- バッテリー管理と注意点
- 中古車購入時に確認すべきポイント
- BMW R850Rの特徴・スペックと購入時の注意点について総括
中古車市場
BMW R850Rの中古車市場は非常に限定的で、他のBMWモデルと比較しても希少性が高いと言えます。R850Rは1995年から2006年頃まで生産されていたミドルクラスのロードスターバイクですが、日本国内での新車販売台数は非常に少なかったため、中古市場に出回る車両の数も限られています。特に、日本仕様としてABS非搭載で導入されたモデルが中心であり、ABS付きの車両を求めるライダーにとっては選択肢が狭まります。
中古市場では、その希少性から価格が安定している傾向にあります。価格帯としては比較的手頃なものから、状態やカスタム状況によっては高値で取引されるものもあります。R850Rの特徴は、R1100RやR1150Rと同じような車体構成でありながら、排気量が小さく軽快な乗り味を持つ点です。このため、BMWのバイクに興味がありつつも大型エンジンの圧倒的なパワーを必要としないライダーにとって魅力的な選択肢となっています。
ただし、中古市場でR850Rを購入する際には、いくつかのポイントに注意が必要です。ABS非搭載モデルが多いことから、急制動時のコントロール性においてはライダー自身のテクニックが求められます。また、販売されている車両の年式によっては、シリンダーヘッドカバーが異なる素材で作られていたり、エンジンの点火方式がシングルスパークのままであったりと、細かな仕様に違いがあります。これにより、同じR850Rであっても、モデルごとの特徴を理解し、自分に合った一台を選ぶことが大切です。
さらに、R850Rの中古車は一部の専門ショップやBMWの愛好家コミュニティを通じて探すことが推奨されます。一般的な中古車販売店では見つけるのが難しいため、専門性の高い販売ルートを活用すると良いでしょう。状態の良いR850Rは人気があり、特に整備記録がしっかりと残っているものは早々に売れてしまうことが多いです。したがって、中古車購入の際には、スピーディーな判断と詳細なチェックが必要です。
購入時の注意点
BMW R850Rを購入する際には、車両の状態やメンテナンス履歴に注意を払うことが重要です。R850Rは年式により細かい仕様が異なり、それが車両の価値や維持費に影響を与えるためです。特に確認したいのは、エンジンの状態とブレーキシステムです。ABSが装備されていない車両が大多数のため、制動時のテストは欠かせません。ブレーキキャリパーの状態やパッドの摩耗具合をしっかりと確認し、安全性を確保する必要があります。
エンジンに関しては、R1100RやR1150Rと同様の848ccボクサーエンジンを搭載していますが、適切にメンテナンスが行われていないと、始動時に異音がすることがあります。特に、シリンダーヘッドやギアボックス周りの音は重要な判断ポイントです。異常な作動音やオイル漏れが見られる場合は、修理が必要になる可能性があるため、購入前に確認しておくと良いでしょう。
また、車体全体の歪みやフレームの状態もチェックしておくべきです。特に、リア・ステップステーが転倒の影響で押され、フレームが曲がってしまうことがあります。車体を真後ろから観察し、フレームが真っ直ぐであるか確認することが重要です。さらに、リア・ブレーキディスクの摩耗具合も見逃せないポイントです。R850Rのブレーキディスクは比較的磨耗しやすいため、摩耗が進んでいる場合は交換が必要になります。
シートの状態も注視すべきポイントです。R850Rのシートは引っ張られる構造であり、角や折り返し部分が切れやすくなることがあります。シートの表面や縫製部分をチェックし、破れや劣化がないかを確認してください。
最後に、整備記録がしっかりと残っているかも購入時の重要な判断材料です。特に、ガソリンホースやバッテリーの交換履歴があると安心です。R850Rのバッテリーはタンク下に設置されているため、交換がやや面倒な作業です。この点に注意し、整備がきちんと行われている車両を選ぶことで、購入後のトラブルを防ぐことができます。
よくある故障と対策
BMW R850Rは信頼性の高いバイクですが、特定の部分で故障が発生しやすい傾向があります。よくある故障として挙げられるのは、バッテリーの不具合です。R850Rのバッテリーはガソリンタンクの下に設置されているため、交換や充電作業が容易ではありません。この位置にあることで、バッテリーの劣化に気づくのが遅れる場合もあります。バッテリーが弱ると、エンジンの始動が不安定になり、最悪の場合セルモーターが回らないこともあるため、早めの対応が必要です。対策としては、定期的にバッテリーの状態を点検し、早めに充電や交換を行うことが推奨されます。
次に、ABS非搭載モデル特有のブレーキ関連のトラブルです。R850RはABS装備がないため、ブレーキの管理が非常に重要です。ブレーキキャリパーやパッドの摩耗具合を定期的にチェックし、異常があれば早急に交換することが求められます。また、ブレーキディスクは磨耗しやすいパーツであり、特にリアディスクの磨耗が進むと制動力が低下します。ブレーキディスクの厚みが基準以下になっている場合は、速やかに交換を検討しましょう。
また、エンジンの異常音もR850Rのよくあるトラブルの一つです。エンジンの作動音がいつもと異なる場合、内部の部品の摩耗や不具合が考えられます。シリンダーヘッドやギアボックス周りからの異音は、エンジンオイルの交換が遅れたことによる劣化や、内部部品の異常が原因となっていることが多いです。このようなトラブルを防ぐためには、オイルの定期的な交換と、エンジンオイルの品質に注意することが必要です。
さらに、燃料ホースの劣化も注意すべきポイントです。長年の使用により、燃料ホースがひび割れや劣化を起こし、燃料漏れの原因になることがあります。定期的な点検とホースの交換を行うことで、燃料漏れを未然に防ぐことができます。こうした対策を講じることで、R850Rの性能を長期間にわたって保つことが可能です。
メンテナンスポイント
R850Rを長く快適に使用するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。R850Rは、BMW特有のボクサーエンジンを搭載しているため、メンテナンスの際にはエンジン周りのチェックが重要です。まず、エンジンオイルの交換は必須です。推奨される交換頻度は約5000kmごとですが、ライディングスタイルによってはこれよりも早めに交換することが理想的です。オイルの劣化を放置すると、エンジン内部の摩耗が進み、性能が低下するだけでなく、エンジンの寿命にも影響します。
次に、バッテリー管理が重要なポイントです。前述のとおり、R850Rのバッテリーはタンク下に設置されており、充電や交換作業がやや手間です。バッテリーが弱ってくるとエンジンの始動が不安定になり、特に寒冷地や冬季には影響が大きくなります。メンテナンスの際には、バッテリーの状態を確認し、必要に応じて交換や充電を行うことが推奨されます。
さらに、ブレーキシステムのチェックも忘れてはいけません。R850RはABS非搭載であるため、ブレーキの効き具合を定期的に確認し、ブレーキパッドやディスクの磨耗状態を確認する必要があります。パッドの残量が少なくなっている場合や、ディスクが薄くなっている場合は、早めに交換を行いましょう。また、ブレーキフルードの交換も定期的に行うことで、ブレーキの性能を維持することができます。
燃料ホースやガソリンタンク周りも注意すべきポイントです。経年劣化によるひび割れや劣化が生じやすいため、特に長期にわたって保管されていた車両では注意が必要です。燃料漏れを防ぐためには、定期的な点検と交換を行うことが大切です。
最後に、シートや外装のチェックも重要です。シートの表面は、引っ張られた構造になっているため、長期間の使用により、角や折り返し部分が裂けることがあります。シートの破れは見た目だけでなく、座り心地にも影響しますので、定期的に点検し、必要に応じて補修や交換を行うことをお勧めします。このようなメンテナンスポイントを押さえることで、R850Rのパフォーマンスを最大限に引き出し、快適なライディングを楽しむことができます。
燃費性能と実用性
BMW R850Rは、ミドルクラスのロードスターバイクとして、燃費性能も一定の評価を得ています。848ccの水平対向2気筒エンジンを搭載し、排気量や走行スタイルによって異なりますが、平均的な燃費は約15〜20km/L程度です。この数値は、市街地走行と高速道路でのツーリングを組み合わせた走行条件によるもので、燃料タンク容量が20.5Lであるため、一度の満タンで約300〜400kmの走行が可能です。
燃費性能に関して、R850Rは中排気量のバイクとしては優れた部類に入ります。特にツーリング中には、低回転でのトルクが豊富なエンジン特性が活きてきます。この特性により、高速道路での一定速度での巡航走行時はエンジンへの負担が少なく、結果的に燃費が向上します。燃料供給はBosch Motronic MA2.4によるフューエルインジェクション方式が採用されているため、効率的な燃焼が行われ、より安定した燃費性能を維持できます。
一方で、市街地走行や信号の多いエリアでの走行では、燃費がやや低下する傾向があります。頻繁な加速や減速を伴う走行では、エンジンの回転数が高くなるため、燃料消費量が増えることがあります。このため、日常的な通勤や街乗りでの利用では、燃費が平均15km/L前後になることが一般的です。ただし、走行スタイルやメンテナンスの状況によっても燃費は変動するため、定期的なオイル交換やタイヤ空気圧のチェックを行うことが燃費向上に寄与します。
実用性の面では、R850Rはツーリングや長距離移動に適しています。燃料タンク容量が20.5Lと大きめであるため、長距離を走行しても頻繁に給油する必要がありません。また、水平対向エンジンの低重心設計により、走行時の安定性が高く、長時間のライディングでも疲労を抑えることができます。これに加えて、車体サイズが比較的コンパクトで取り回しがしやすいことから、都市部での扱いやすさも兼ね備えています。R850Rは、そのバランスの取れた燃費性能と実用性で、多様な用途に応えることができるバイクです。
カスタムとアクセサリー
R850Rは、カスタムパーツやアクセサリーの選択肢が豊富であり、オーナーが自分好みにカスタマイズしやすいモデルです。多くのライダーが楽しむカスタムの一例として、シートの交換があります。R850Rは標準で780mmのシート高を持っていますが、アクセサリーオプションとして800mmや820mmのシートが用意されています。これにより、自分の体格や好みに合わせて快適なライディングポジションを確保することができます。
また、ハンドル周りのカスタムも人気です。ライダーの体型や好みに応じて、ハンドルバーを交換したり、バーエンドミラーを取り付けることで、見た目と操作性を向上させることが可能です。これにより、ライディング時の姿勢が改善され、長距離の走行でも負担が軽減されます。さらに、グリップヒーターやクルーズコントロールを追加することで、快適性がさらに高まります。
エキゾーストシステムの交換もR850Rオーナーの間でよく行われるカスタムの一つです。純正のサイレンサーはR1150GSと共通部品で、重厚な音質を持ちますが、サウンドや軽量化を求めて社外製のエキゾーストシステムに交換するケースも多いです。サイレンサーの位置を下げる社外キットを使えば、左右同型バッグを取り付けるスペースを確保でき、ツーリング時の積載性を向上させることも可能です。
アクセサリー面では、ツーリング用途に応じたサイドケースやリアボックスが非常に役立ちます。BMW純正のケースはもちろん、他のメーカーからもフィットするオプションが販売されており、荷物の収納が容易になります。さらに、風防やスクリーンの取り付けは、長距離ツーリングの際の風圧を軽減し、疲労を抑える効果があります。高めのスクリーンやカスタムパーツを取り付けることで、見た目のカスタムと実用性を両立させることができます。
このように、R850Rはカスタムの自由度が高く、オーナーがライディングスタイルに合わせて多様なカスタマイズを行えるバイクです。車体のメンテナンスやカスタムに手を加えることで、より自分だけの一台に仕上げられる点がR850Rの魅力の一つと言えるでしょう。
バッテリー管理と注意点
R850Rのバッテリー管理は、バイクのパフォーマンスを維持するために非常に重要です。R850Rのバッテリーはガソリンタンク下に設置されており、他のバイクに比べて交換やメンテナンスがやや複雑です。この設置場所のため、バッテリーの状態を確認するにはシートや一部のパーツを外す必要があり、手間がかかることがあります。このため、ライダーは定期的にバッテリーの状態を把握し、適切なメンテナンスを行うことが求められます。
バッテリー管理の基本は、定期的な充電と交換のタイミングを守ることです。特に寒冷地では、低温下でバッテリー性能が低下しやすく、エンジンの始動が難しくなることがあります。このため、冬季にバイクを使用しない場合はバッテリーを取り外して室内で保管し、定期的に充電しておくことが推奨されます。また、バッテリーが弱っていると、R850Rの場合、エンジン始動時の回転が不安定になり、電装系に影響を与えることもあります。
さらに、R850RはABS非搭載モデルが多いため、バッテリーに不具合が生じた際のリスクは、エンジン始動不良だけでなくアイドリングの不安定さにも影響します。電力供給が不十分な状態での走行は、エンジンのパフォーマンスにも影響を及ぼし、最終的には車両全体の劣化を招くことがあります。定期的なバッテリーチェックは、単にエンジンを回すだけではなく、電圧測定を行うことでより正確に状態を把握できます。
R850Rのバッテリー交換は、タンク下に設置されていることから、ガソリンタンクを一部取り外す必要があります。これは時間と手間のかかる作業ですが、適切な知識と道具を持っていればDIYでの作業も可能です。しかし、整備経験が浅い場合は、プロの整備士に依頼することで確実なメンテナンスを受けられます。バッテリー管理を怠ると、いざ乗りたいときにエンジンがかからないという不便さを経験することになりかねませんので、定期的な確認を心がけることが大切です。
中古車購入時に確認すべきポイント
R850Rを中古で購入する際には、車両の状態をしっかりと確認することが大切です。特にR850Rは希少なモデルであり、各車両の状態が異なるため、適切なチェックが求められます。まず最初に確認すべきなのは、整備記録の有無です。整備記録がきちんと保管されている車両は、定期的なメンテナンスが行われていた可能性が高く、安心して購入することができます。特にオイル交換やバッテリー交換の履歴は、車両の寿命や性能に大きく関わるため、詳細に確認してください。
また、エンジンの状態は見逃せないポイントです。エンジンを始動し、アイドリング時に異常音や振動がないかをチェックすることが重要です。エンジンの作動音が不自然な場合は、内部部品の摩耗やトラブルの兆候であることが多いため、専門家による点検を受けることをお勧めします。エンジン以外にも、シリンダーヘッドカバーやギアボックスの周辺にオイル漏れがないか確認し、見つけた場合はその原因を特定することが大切です。
フレームの状態もR850Rを購入する際に確認すべきポイントの一つです。特にリア・ステップステーが転倒時の衝撃でフレームを曲げることがあるため、車体後方からまっすぐに観察し、歪みや変形がないかチェックします。車体の歪みがある場合は、修正が難しく、後のメンテナンスコストが高くつくことがありますので、注意が必要です。
さらに、ブレーキディスクの磨耗具合も重要です。R850RはABS非搭載モデルが多いため、ブレーキシステムの状態は安全性に直結します。ブレーキディスクが薄くなっている場合は、交換が必要になりますので、購入前に必ず厚みを確認しましょう。リアブレーキディスクは磨耗が進みやすいパーツですので、特に注意して見ることを推奨します。
最後に、燃料ホースやバッテリーの状態も確認ポイントです。燃料ホースは経年劣化でひび割れや劣化が進んでいることがあり、燃料漏れの原因となることがあります。また、バッテリーはガソリンタンク下に設置されているため、バッテリー交換履歴がない場合は、その交換の手間や費用も考慮する必要があります。これらのチェックポイントを押さえることで、R850Rの中古車を購入する際に失敗を防ぎ、長く快適に乗り続けることができます。
BMW R850Rの特徴・スペックと購入時の注意点について総括
記事のポイントをまとめます。
- BMW R850Rは1995年から生産されたミドルクラスのロードスターバイク
- 848ccの水平対向2気筒エンジンを搭載している
- 最大出力は70PS、最大トルクは7.9N・mを発生する
- 空油冷方式で過酷な環境下でも安定した性能を保つ
- ABSが標準装備されていないのが日本仕様の特徴
- パラレバーとテレレバーのサスペンションを採用している
- 燃料タンク容量は20.5Lで長距離ツーリングに適する
- 車両重量は238kgで安定した走行が可能
- シート高は780mmで、調整可能なオプションもある
- 取り回しが良く、街乗りからツーリングまで対応する
- 中古市場では希少で、状態の良いものは早く売れる
- エンジン始動の異音やオイル漏れに注意する必要がある
- リア・ブレーキディスクの摩耗が見られることが多い
- ガソリンタンク下にバッテリーが設置されている
- バッテリー交換には手間がかかることがある
- シートや外装の経年劣化が発生しやすい
- 上位モデルよりも価格が抑えられ、手に入れやすい
- ABS非搭載のためブレーキング技術が求められる
- 燃費は平均15〜20km/Lで安定している
- カスタムパーツやアクセサリーの選択肢が多い
- シリンダーヘッドカバーはマグネシウム合金製で耐久性がある
- エンジンの低重心設計で走行時の安定性が高い
- 乗車定員は2名でツーリング用途に適している
- 中古購入時は整備記録やメンテナンス履歴を確認する
- ABS装備の上位モデルと比較して価格がリーズナブル
- 燃料ホースの経年劣化による点検が必要
- フレームの歪みなど転倒跡に注意すること